『リーンの翼』第1話「招かれざる者 Uninvited One」

というわけで、無料のファーストプレビューを見た。
一言で感想をいえば、200%富野アニメ。どこをどう切っても富野アニメというところでしょうか。
密度の濃さ、富野節、そして、科学とオーラ力(ちから)の曖昧に混在する世界観と、
いかにもバイストンウェル物語っぽい造りになってます。


ただ、アニメの『聖戦士ダンバイン』しか知らない人、昔の原作の『リーンの翼』しか知らない人は戸惑うかもな。
バイストンウェル関連の作品は、『聖戦士ダンバイン』を原作としたような小説『オーラバトラー戦記』がありつつ、
同じバイストンウェルを舞台にしつつ、メカは全く出てこない小説『ガーゼィの翼』もあるし。
バイストンウェルって、これぐらいファジーなんだよね、何か事件が適当に起こっている、という感じで見るのが吉かと。


例えば、今回の『リーン』では20年以上前の作品である『ダンバイン』より、
メカデザインが洗練されていて、新しい印象を受けるけど、
基本技術は『ダンバイン』の時より進んでなさそうな感じというのがその辺で、
これは話全体が『ダンバイン』『ガーゼィ』『リーン』と全部パラレルワールドなのか、
それとも、異世界バイストンウェルと地上界を行き来する間で時空が歪んで、
作品毎で時間のねじれが生じているのか、どちらとも考えられる。


まあ、その辺は好きなように取ってくれということなんだろうけど、
結局は作者(この場合は富野監督)の妄想に付き合えるかどうかが、この手の異世界モノの肝だよなぁ。
もちろん、『ダンバイン飛ぶ』で、なぜか涙する私は付き合うわけですが。


しかし、ビジネス的な位置づけとしてはバンダイチャンネルの実験作で充分なのかもしれないが、
これを1話30分の6000円超のパッケージで売るのは、いくら何でもぼっ○○りなんで、
それ相応の特典なり変化を付加しないとダメでしょうな(あと、ある程度のリテイクも含めて)。

バイストンウェル自体を知らない人が、これを見て「ポカーン」なのは当然。
だって、バイストンウェルという世界観を舞台にした過去の作品を受けて作られているわけだし、
これ自体も小説版『リーンの翼』の続編的位置づけだし、
ダンバイン』の1年と違って、尺も全6話しかないのだから悠長にやっていられるはずがない。


そもそも、この作品の企画意図自体、過去に少なからず『ダンバイン』等を見た人向けなのは、
どう考えても明らかだし、強いてそういう「一見さんお断り」の弊害を少なくしようと思えば、
6話に分けてやるより、こういうのこそ映画にして見せた方がいいわけだけど、出来ないのがツライ所。
まあ、恐らくバンダイチャンネルとしては、
一緒に『ダンバイン』も見てもらえたら、というところなんだろう。